逃げていては失敗すらできない。受けてたつんだ。
たとえばテストで失敗する。ただ通りいっぺんの練習をして点数をとらなかっただけでは失敗とは言わない。それはたんに準備不足にすぎない。
徹底的に準備して点数を取りにいってなおかつ失敗する。これは失敗だ。
失敗の向こうにプロとアマの違いがある。アマは失敗を忘れる。
プロたる修行者は失敗から逃げない。失敗を受けてたつ。
(WBC世界王者の内藤大助選手が王座から陥落した。自分に勝った亀田興毅選手に対して試合後手を握り頭を下げ、ファンにも頭を下げていたのに感動した。彼はプロだ。負けても逃げるということがない。)
かつて貴乃花という横綱がいた。ウルフ千代の富士を引退に追いやったとまで言われた名力士だった。横綱になってからはとくにいつも、受けてたつ相撲をとった。立ち会いから変化などせずに受けてたつ大きな相撲が魅力だった。逃げるような相撲をしたのは若乃花とのあの兄弟決戦のとき以外には見たことがなかった。
勝っても負けても実にいい相撲だった。
ミスや失敗のない人間など一人もいない。どころか連続で失敗することだってありえる。リスクには失敗がつきものだ。挑戦の数だけ失敗はある。
失敗から何を学ぶか、それが問題なのだ。
了