毎週入試問題のノート提出を課していた(大学受験生には毎年高2の秋から高3の冬までそれを課している)。その子は答案と合わせていつも使った公式の証明をくっつけて書いていた。
例えば微分の公式ならなぜそれが成り立つのかまで書いてあった。
理由を聞くと、「公式は証明しないとなんだか気持ちが落ち着かないのです」と。
「証明していたら忘れてもまた導いたらいいし納得できるのです。」
数学だけでない。英語のノートも特殊なものだった。読んだ英文に必ず日本語要約文がついていた。
その子はその春、現役で目標とする東京の大学へ進学した。
この子は常に自分の好奇心や関心に忠実であり、合格よりも勉強自体を楽しむ姿勢を持ち、何でも自分が納得するまで調べたり考えたりする子だった。
(答えはこの中に(第一部、了))