(なんとなく同じ題のまま勝手に続けて第3波)
英単語試験をやめるのは勇気のいる決断だった。英単語の小テストを課さないコーチなんて聞いたこともなかったし。
ヒカリ:「なんで暗記しないの?」
子:「練習はやっています。」
ヒカリ:「練習したかどうかは聞いてないよ。どうして全部覚えるまでやらないの?合格しないのは○○だけだよ。」
子:「理解があればただの暗記よりも深い記憶が得られるんです。」
ヒカリ:「ふ、深い記憶?遠い記憶じゃなくて?」
子:「いえ。深い記憶です。深い記憶があれば公式や単語の細かいものは忘れてもすぐに公式を作れるだけの力が得られるんです。」
ヒカリ:「ぼくは今、公式じゃなくて単語の話をしてるんだけど。じゃあ、倍角の公式は?」
子:「指でなにか書きながら(1秒後くらいにスラスラ言う(正解))」
ヒカリ:「それは覚えていたの?」
子:「いえ、頭の中でつくりました。」
ヒカリ:「手でゴニョゴニョしていたのは?」
子:「イメージの補助的なツールです。」
ヒカリ:「わかった。じゃあ単語テストはもうやめにするよ。」
子:「いえ。これからもそれは受けさせてください。」
ヒカリ:「だってどうせ半分くらいしか書けないよね?それに答案用紙の裏には漫画が書いてあるけど?かわいい漫画だから何も言わなかったけど。」
子:「はい。やっても忘れてしまうんです。でも5個ずつでも10個ずつでも増えたら新しい核になるからやります。漫画はすみませんでした。」
ヒカリ:「う~ん…。でもテストの時間がもったいないから、その時間を代わりに暗記タイムにするよ。いいかな。」
子:「わかりました。」
(結局、暗記自体は課したが、テスト制は廃止した。)
細かいところは覚えていないがたしかそういうニュアンスだったと思う。
当時はグループ形式だったので同じ時間にみなに同じことを課していたのだが、彼女のその事件をきっかけにそうすることをやめた。
深い記憶というアンニュイな言葉は今でもアンニュイなままだけれど、たまたま彼女は志望の大学に判定通り無事に合格をし、ヴォクはヴォクでたまたま暗記ではなく理解に基づく暗記の大切さについて再認識することになった。
(続く)