山奥の家の独学者にもできる学習姿勢(森勉)がある。
セルフラーニングの技法(4)
・毎日1題、問題を自力で解けるまで練習する。
セルフラーニングの場合、見極めをするのがコーチでなく自身になる。
新しい技を習得するために練習している。いったい何をもって習得できたとみなすのか?は問題となり得る。
そこでゴールを「自力でできた」におくということが必要になる。
問題を読む、問題を解く、解説や解答をどう利用してもよいが最後はできるまでマークすることだ。自力でできないうちは身につけたの数に入れてはいけない。自力で解けない問題は問題タッチ数には数えてよいが問題マスター数には数えられない。
途中がどうであれ自力でできることにゴールを設定しておけば間違いがない。
一流の本に学ぶことができる。
ゴールをそこに置くならば作者がゴールとしているところに自分でもたどり着けるようになる。
本の技を吸収できたかどうかの見極めとしてできるまでやったというのがよい。かくして世の多くの独学者は参考書問題集の問題番号に色々の印をつけている。
さらにペースも問題となる。セルフラーニングの場合、ペースメーカーが自分自身。
昨日の自分以上に今日がよくなるという改良回路をつくりあげるのは思うほど簡単ではない。物理的に一日で取り組める問題の数には限りがある。したがって最高速度は一定以上上がらない。
昨日4題を身につけたというのは今日もまた4題以上を身につけられるということにつながるべきものではない。
ペースを毎日あげていくことは物理的に難しい。
それはマラソンで後半に進むにつれて徐々にペースをあげていくのが困難なのに似ている。
ペースを作るというのはセルフラーニングの最も高いハードルのひとつである。
そこでペース作りの基準に問題数を設定する。
入試問題を解くなら毎日一題をノルマとする。
すると年間300題以上の入試問題を解くことができるペースとなる。
演習量が絶対的に少なくなるという事態が避けられる。
同じようなプログラムなら100題練習するのと200題練習するのとで差は小さいかもしれない。
しかし50題では明らかに不足するだろう。
200題、300題という高度のペースをキープする最もかんたんな方法は毎日たった1題だけやる、しかし必ず1題を終えるまでやるという作戦であり習慣的行為である。
かくして世の多くの独学者は参考書問題集の問題番号に日付をつけている。
毎日1題が自力でできるまでやるという単純な作戦がセルフラーニングの基準のひとつとなる。
「え、たった1題でいいの?」
5題を中途半端にさわるより1題自力でできるまで身につける方が実力になる。
何時間かけるかは問題ではない。
長いよりは短い方がいいに決まってる。
たとえ1日1題でも積み上げて大きな力になる。
夜、布団に入って振り返る。
今日もまた1題の問題を解いた。
今日もまた新しい技をひとつ身につけたと。