受験生から遅れること半日。
社会と国語と英語も解いてみた。
ずっとここに向けて準備してきた。問題を見たいというのが当たり前の動機で、自己採点の数字だけあっても問題を実際に解いておかないと何もわからないというのが残りのすこし。
国語に関して。
国語大問1は物語文。A4用紙ちょうど3枚分と本文の文章が例年通り長いが、「木肌」や「杉の香り」や「木目」のことばに多くのことを「喚起」されるような木が好きな人、杉が好きな人には読みやすい物語。普段から長い文章をじっくり味わっておくことが入試国語読解力を高める一番の方法であろう。大問1の設問に関しては記述が30字と35字の2題の文字数は大きくなくすべて標準的なレベルのものであった。
国語大問3は説明文。「こと」と「もの」の対比に着目して読み解くべき論旨明快なる文章である。ことばの話が好きな人はおそらくぐぐっと本文に引き込まれたに違いない。
問3B 空欄補充も例年通りの出題だが、「かぎかっこ」のありなしという細部まで読む必要がある。
差がつくのは問4(Cレベル)。普段から50字程度の段落要約を習慣にしておきたい。この段落の「イイタイコト」はなに?ということを自問自答するトレーニングである。
大問4の古文は例年通り難しい場所に口語訳が付され例年以上に平易だった。
以上。
次は英語に関して。
大問数、小問数まで出題形式は同様。本文に傍線部がない!読解せよという埼玉県からのメッセージだな。
大問1は例年通り聞き取り問題。
リスニングは例年通り。
問7以外はスロウスピードで全部で8分32秒である。
過去問演習の際にリスニングを後回しとする場合、10分から15分さし引いて練習すればよろしい。
問1A father and mother(キーワード、以下同)
問2A this Sunday, park
問3B 11:35, after Midori, 5 minutes
問4A how to make it
問5B John's phone number
問6(1)A a new one, (2)A to finish my homework first, (3)A writing e-mails in English
問7(1)B at first, (2)C only two months, March 12th, (3)B Thank you.
2回読まれるので1回目は内容を追跡し、2回目は関連箇所をメモするようにするという解法が考えられる。
何でもかんでもメモする必要はないので1回目は内容を聴くことに専念したいところ。
大問2は例年通り中文読解問題。迷いやすい空所文補充は今回は難しくなかったか。最後の設問まで、本文最後の2行は読まなくとも答えが出るが念のため読んでも安心できる。
大問3も例年通り対話文読解。A4用紙1枚に行間を調節してきれいに収まっている問題文。
問1C。worrying/caringなど。動名詞を書いてあれば別解チャンスありか。高校別採点のはず。
英文を読む際に途中単語に*の注が付されているが意味のわかる単語は注まで飛ばなくとも問題はない。
問4はB。Ms. Ikedaの発言を探す。
問5はB。早起きは三文の徳の諺を英語で聞いたことがあった人にはA。
問6はB。時間を要する。選択肢の英文がすべてsoを含む。従って因果関係を丁寧に追わないと○が複数あるように勘違いしやすい。理由が本文にないものが3つある。
問7は英作文問題。内容よりも正確な表現を重視したいところ。
大問4も例年通り長文読解。A4用紙1枚に本文と注が、行間を調節してきれいにしかし小さな文字で収まっている問題文。A4用紙1枚程度の長文を普段から黙読音読していた人は普段通りと思えただろう。
本文をずんずんと読み進めるその前に2分かけないくらいで設問に目を通し探さねばならないことばに印をつけておけば、本文を読む負担がぐっと減少する。
全文を和訳しながら読む必要はない。
たとえば「駅のそばの新しい建物、駅のそばの新しい建物」と慎重に読み進めても大意しか問わない本問ではメリットがない。¶1では桜の木がないということだけが重要なのだから。同様に¶2でも小さな森の消失をさみしく思うという大意を掴みたい。
はじめに設問を読んでいた人はMr. Ogawaの登場で読解速度をゆるめるだろう。解答があるはずだ。
はたして¶3の中にそれはあった。
問1(2)は難しい。アとエを本文に探す。エのMayumiにできる小さなことが見つかるだろう。
問2も難しい。英作文なので主語と動詞を含め文で答える。ぱっと見て主語をAyumiにしたらいいのかはたまたAyakoにするのかと考えがちだ。しかしMayumiはAyakoに同意しているわけだから2人の意見は同じであると考え直すべきだ。そこまで考えると主語をthey(答えの文の主語は代名詞にする)とする。どこにカーテンを作るかだが場所は自宅だけではない。
場所をもうひとつ合計で2つ見つけ不足なく書かねばならない。
their housesとat schoolを等位接続詞andでつなぐところまで油断できる箇所はない。
今年は早寝早起きの英答問題にもandがあった。
等位接続詞が文法的に等しいAとBをつなぐことを常に意識しておくべき所以である。
問3は¶4の後半にボランティアとある。テレビで見た若木の話は例でありきっかけに過ぎないので含めない、など過不足なくと考えると時間を使う。
このように、本文内容はシンプルなのだが設問処理に判断を要するものが多い。本文は大筋を追い設問対応はこまめでありたい。
例年難問の多い受験生泣かせの?問4。
(1)A。Mayumiは¶1で泣きそうになっていた。この感情はなんだろう。形容詞で表す。
(2)B。環境について考える必要がある(need)とある。それを形容詞に換える。
(3)C。グリーンカーテンが「部屋を涼しく保つ」や「電気が節約できる」などを手掛かりにして「環境を(3) (←動詞)する」と言い換える。
直接本文に探しても適切な動詞が見当たらないので自力で作る。となると解答例はいろいろ考えられる。
私たちが環境に対してグリーンカーテンをつくるという行為で働きかけるとき環境に対してできることと言えば何だろう、と。
環境を「助ける」ことにもなる、環境を「守る」ことにもなる。環境を「持続させる」ことにもつながる、環境を「後世に維持する」ことにもなる。
そう、答えがひとつだけには定まらないからかえって悩んでしまい時間を要してしまう、という。
実際これはいろいろな解答例が可能であるのだ。
そう割り切って考えることが必要である。
(4)B。彼女もそれがいいアイデアだと思ったとある。このように本文から直接ひっぱってこられないというのが埼玉英語形式である。
しかしこれらはあくまで解答「例」である。
県公表の解答だけが唯一の解答というわけではないことに注意されたい。
何度も書くが高校別採点である。
埼玉英語のこの空所補充定番問題については、いったん候補で思いついたものを書いておき後で戻ってきて検討するという解答姿勢でよろしい。
大問5は例年通り自由英作文と分類されやすい英作文問題。
近年、自分であらかじめ用意した文をそのまま写すことのできぬよう条件が指定されている。
本年も①で従位接続詞のif、②で現在完了形を必ず使わねばならないという条件がつくので、間違いなく条件英作文の問題である。
①「もし日曜日が晴れなら、〜したい。」については日曜日が未来のことであるが if+現在形の完全文 を使う。当たり前だが if it will be sunny next Sunday, と単純未来のwillを付けると×。
文法テーマごとに英作文の表現を練習していた人、条件別に色々な英作文に挑戦していた人には普段通りの問題だと感じられたことだろう。
3文め以降の後半に必ずしもbecauseを含める必要はないと思われるが、This is because〜の定型表現から3文めを書き始めれば先に結論を書く英語らしく答案も書きやすくなったかもしれない。
全体として受験生の英語力をいろいろの角度から総合的に評価できる良問題だった。
最後に一言。
英語は英作文で差がつく。大問5だけでなく英文で答える問題すべてを大切にしたい。
以上。