たまにはヴォクの話。
ヴォクの両親は小4の頃に離婚していて、ヴォクは転々としたあとに祖母の家で高校までを過ごした。部活のコーチ・えのもとはヴォクにとっての父親となった(ヴォクの中で)。
大学に行くのに上京するまで長く祖母や妹と過ごした。
会社組織のめっさめっさデカイ塾に念願かなって内定した。学生時代アルバイトをしていた予備校からの好条件を断って入社した。
そこには業界の違う大企業から転職し管理職をしていた(ヴォクにとって)最高の上司がいらっしゃった。山口県出身のやさしい鬼だった。3年間、ほとんどハイしか言わず仕事の仕方を教わり盗ませてもらった。
仕事や管理は海兵隊方式で、会議のたびにつっこまれて胃がいたく、大の会議嫌いになった。
上司には自宅に呼んでもらい子供と遊ばせてもらったり毎晩明け方近くまで小さなしかし大事な仕事を一緒にやったりした。どんなに感謝しても感謝しきれない。
上司の壁は大きかった。
なかなか破れない大きな壁だった。
体力以外はかなわなかった。
仕事を教わり3ミリくらいは近付いたかな~っておもいはじめた頃だったろうか、デカイ教室の教室長をヴォクがやらないかというお話をいただいた。
塾銀座にある本部校で1000人くらい子供の通う教室だった。
引き受けるともう仕事を盗むことはできなくなる。考えた結果希望し、相談し、その上司に許可をいただけたので引き受けた。
いまは独立し、思うところがあり小さな小さな塾をしている。
小さくても速くて強い塾を心に掛けている。
なんとかそれなりにやっていけているのは、コーチえのもととあの上司のおかげである。それと大学にいかせてくれた母のおかげである。
10年以上たった今でも上司が夢に出て来ることがある。壁を与えてくれる(上司はいつも新しい課題をヴォクに課して任せてくれたから)。
20年以上たった今でもコーチえのもとが夢に出て来る。喉のかわきを与えてくれる(コーチえのもとは練習中決まった時間にしか水を飲むのを許さなかったから)。
目の前にいて話をすることができる。
夢の中でなら、こわくても面と向かって対話することだってできる。
神様、ありがとう。