ヒカリブログ

上尾市と桶川市の間にある学習塾光塾

2本のスプーン

ウチにグランドマザーカレーのスプーンがある。今年もスプーンのシーズンなのでたまには想い出話。

当時名古屋や岐阜を中心に日雇いの仕事をしていて、その日も早朝から夜まで足が棒になるくらいまで、藤島親方(相棒のニックネーム)とタッグを組みがっつりがんばった。

彼はマックの社員をやめた直後で、夢をおいかけて修行僧みたいな熱意をもってその仕事にあたっていた。ヴォクは移動の車中で自分の持つ限りの営業のノウハウを伝え一緒に成績を追いかけた。

チームを組んで3か月が経った。

ヴォクら二人のペアは中部エリアナンバーワンの月間成績をおさめ、

優勝の祝いにと三重遠征の仕事帰り夜10時くらいに、西岐阜駅から岐阜駅へ向かって徒歩10分くらいにあったCoCo壱に入った。

狙いはもちろん、あの銀のスプーンだった。記念が欲しかった。二人でがんばった思い出にしたかったのでヴォクから誘ったんだ。

2本当たるまで食べよう。

ヴォクのその言葉で涙の大食い大会がはじまった。

藤島親方はやせていたがモスの匠バーガーを15分の昼休憩に3つ平らげるような大食いでその日は5杯、ヴォクは当時はスリムだったが同じくグランマを4杯食べた。

1杯注文すると籤(くじ)が1回ひける制度だった。

たまたまなかなかあたらずに、あるいは当選率はいつもそんなものなのかもしれなかったが、ヴォクらは何杯もグランマカレーを美味しくいただいた。CoCo壱のカレーは美味しかったし、なにより優勝の味がした。

9分の2の抽選結果でヴォクたちは見事、望みの銀のスプーンを2本手に入れ、1本ずつ分けあったんだ。あのとき君はとてもうれしそうな顔をしたね。

ヴォクたちは年齢も出身も境遇もなにもかも違ったが、ふたりでペアを組み、昼飯休憩さえ十分にとらずに目配せしながら数字を追いかけた。

君があるときつぶやいた「ガッツリ」ががんばる合言葉だったね。喉がかれても立ち通しで立てなくなりそうになっても、座らずに声を出した。苦しくなるとたまにエンジェルが向こうからやってきてデカイ買い物をしてくれた。

そのスプーンで食べると当時の楽しかった仕事を思い出して泣きそうな気持ちになる。

ヴォクは泣かない人間だ。実際に泣いて塩味になることはないから、ヴォクは今でもよくそのスプーンで食べているよ。

君もそうだと信じてる。