部活で完全燃焼した子はもえつきて灰になる期間がある。
これは業界人なら誰もが知る「あしたのジョー」という病である。ヴォクも中学生、高校生のときに二度この病にかかっていた。やめたあとも魂(としか呼べないようなもの)がそれに奪われフラフラとコートへ足が向かい、机の上でも白球を夢想した。沖縄で開催された九州大会が台風で吹き飛びヴォクのテニスは沖縄のホテルの中に置き去りにされた。
しかしこの病はいささかも落胆すべきものではない。全国大会に出場し燃え尽きたその心身がやがて灰たることを拒み、次のエネルギー源をみつけたときから、息をひそめていた期間に反比例するがごとく、躍動する。
部活動に文字通りの全力をかけていた者が、苦痛や忍耐のさほど要求されない勉強に一度次のターゲットを定めたとき、勉強でも成果をあげることはそれほど難しいことではあるまい。
人生に必要なことはすべて砂場で学んだという言葉(本の題名?)があるが、勉強に必要なことのほとんどもまた部活動の中にある。
冒頭で書いたが部活で「完全燃焼」した場合に限る。
この夏の最後に全国大会を終え勉強シフトした子がいる。
さようなら部活動。