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答えはこの中に(1)

「せるふ・めいど・まん」に続いて新しいシリーズ「コタエはコの中に」をはじめよう。ひとりで、ひとりでに。

映画『ショーシャンクの空に』ではないが、受験の問題の「解答は、参考書や問題集の中に」ある。

机の上に問題集を置けば、「解答は机の上に」あることになるし、問題集が本棚の中に並んでいるだけなら「解答は本棚の中に」あることになる。あるいは何回もやりこんですりこんで解答が頭にパッと思い浮かぶようにイメージ化したのなら、「解答は頭の中に」あるということにもなろう。

ということは受験勉強とはすなわち参考書や問題集の中に書かれたことを頭の中に移し替える作業だということになる。

俗に暗記と呼ばれているのはまさにこれのことだが、頭の中に情報のすべてを移し替えられないときでも、構造把握や枠組みの消化だけをしておいて、必要なときだけ頭の中でその都度、知識を導いたり、再構築できるようにしておいてもよい。

ただ、必要なときに毎回一から一行ずつ導くのは面倒なので、何回も練習してはやく導けるようにしておけば、移し替えてはじめから頭の中にあったのと大差なくなってくる。

たまに暗記が苦手で…、という人がいるが、そういう人はその分、思考して導く力(論理的な思考力)が強くトレーニングされているはずだ。

暗記していなくても人は生きていかねばならぬから、たとえば信号の赤が止まれの意味だということ自体は覚えていなくても、青の進めと黄色のアンニュイから消去して、残った赤は止まれであると導けばなんとか支障はない。

昔、東大に進んだ教え子で英単語がなかなか覚えられなくて、驚くべきことに3000語くらいしかボキャがなかった子がいた(中学の教科書だけで大体1000語)。その子は受験前の12月になっても英単語集1冊の2分の1くらいしか覚えていなかった。当時ヴォクは今以上に面倒見が悪かったので、彼女にヴォクは英単語をつめこまず単語はもうあきらめていた。行く年来る年タカアンドトシ教えていたが、彼女ほど徹底的に暗記をしたがらなかった子は珍しかった。

年度途中からは彼女だけ単語テストを課すのをやめた。時間の無駄だったから。彼女はドカベンが好きで「あたしは悪球打ちの岩鬼ですから」と言っていたが、悪球に相当するはずのマニアックな単語なら彼女がとくに知っていたという記憶もない。

しかし彼女は模試のたびに合格者平均点くらいを英語でもとってきたし、暗記の少ない数学なんかではそれ以上にとっていた。数学の公式も覚えにくいからと言って彼女は公式の導き方や証明をよく勉強していた。(東大の入試ではsinシータの定義について説明しなさい、なんていう原理原則を確認するような問題設定も見られるので、そういう学習法は入試に向いていたのかもしれない。)国語なんて、よく全国の上位者リストに載っていた子だった。暗記偏重の一次試験センターはそうでもなかったが(足切りギリギリ)、思考重視の二次の記述型ではめっさ強かった。

そういうこともあるので、ただ暗記してさえいたら点数がとれるということでもなく、構造を把握する力もときにはそれ以上に役立つのだろう。

暗記が得意なことは受験勉強にはもちろん有利であろうし、知識を増やす前に暗記法を向上させるためのトレーニングを積むことの重要性については今更言うまでもないことだが、それと同じく、いやそれよりも先に伸ばしておきたい能力というのもまたあるということなのか。

関係をつかむ力、形式を読みとる力、パターンを見つける力、論旨を追跡する力、資料を読み取る力、情報処理能力などなど、トレーニングしたい能力というものはたくさんあることだよ。

ほなね。すた、すた、…スタアバックス。