大学入試センター試験国語平成二十五年第三問 古文 現代語訳
東国に下った右衛門督は下総守の家に滞在中、浦風に乗って聞こえてきた琴の音を頼りに守の娘のもとを訪れ、一夜を過ごした。以下の文章は、それに続くものである。 (大意) 翌朝、右衛門督は守の娘にお手紙を送りなさろうとするが、送るような手段をお持ちでないので、とてもじれったい思いで過ごしていらっしゃったところ、下総守の家の主人が参上しなさって、「昨日の浦風は、お身体におしみにならなかったでしょうか。たいへん気がかりで」と申し上げなさったところ、右衛門督は「守の娘の演奏していた琴の音のことであるのだろうか」とお思いになって、「すばらしい色香でございました。あの琴は唐琴だったのでしょうか、知りたくございます」とおっしゃったので、下総守は思いがけないが、娘の琴を取り寄せた。右衛門督は、琴を演奏しなさって、「波の音よりも優れていたことももっともなことであるようだ」と言って、箱にしまいなさるというので、お手紙を琴の絃に結びつけなさって、「これをさきほどのところへ」と言って置かせなさったところ、使いのものは琴を持って娘のいるところへ入ってしまう。娘は、琴をお取り寄せになったのを不思議にお思いになって、箱を開けてご覧になると、満足しないままに別れたことの気持ちをお詠みになって、 「会った後こそ悲しいことだよ 人目をはばかる心のならわしから 今晩は、たいそう早く人々を寝かせてから」 とあったが、娘は、どうしようともお分かりにならない。幼い弟が、「お客さま(右衛門督のこと)のところに参上しようとするが、私は扇を昨日海に落としました。扇をいただきたいです」とおっしゃるためにいらっしゃる。娘は「なんと、ちょうどよいこと」とお思いになって、扇の端に小さく歌をお書きになって、「この絵は、趣深く描かれているから、右衛門督にお見せなさい。そうしたら、小さい犬をきっとお与えになるでしょう」と微笑みなさったところ、弟は喜んで、母親のところに参上しなさって、「扇をいただいた」と言って母親に扇を見せなさったところ、母親は歌を見つけなさって、不思議なことだとお思いになる。「なんといっても様子を見たい」と弟の後ろに立って、屏風の陰から覗きなさった。「この扇の絵をご覧ください。姉君がこのように」と弟がおっしゃると、右衛門督は実に美しく書いてあったとお思いになって、扇をご覧になったところ、 かなしさも 秘密にするようなこともおもえない 別れたときのままの心が動揺していて 右衛門督は今朝の琴に添えた歌の返歌であろうとお思いになって、「この扇はぜひ私に戴きたい。あなたに犬をさしあげるはずのようだ。京都にたくさん犬がいたので、取り寄せてその後に」と言って、黄金で作った犬の香箱をお与えになって、「姉君にお見せになって」とおっしゃったものを弟は持って娘の部屋にお入りになったことを、母親はますます不思議にお思いになって、「私にも見せて」と言って、その香箱を手に取ってご覧になると、「やはりそうだよ、昨日の琴の音を目印にしなさっているのだろう」とお思いになるが、察していることが娘に見えないようにしようと考え、隠しなさった。弟は娘のところへいらっしゃってお見せになったところ、娘は、「私のものにしよう」と言って、お取りになって、「この犬を」とおっしゃると、「私の言葉が当たらないはずがなかったので」と言って、娘が蓋をとってご覧になると、内側に、 別れてしまった今朝は心が惑っても今宵と言ったことを忘れないで 女は失うにしのびなくはお思いになるが、他人が見たらいけないと思い、かき消しなさってしまう。 母君は、隠していらっしゃるだろうことも心苦しいだろうと思って、侍女をお呼びになって、「今夜、右衛門督がいらっしゃるだろうよ。よくご準備なさい。将来、あてになるようなので」とおっしゃったので、侍女は、「やはり思った通りだよ。今朝からの娘君のご様子も、昨日、琴と笛とで曲のやりとりをなさったのも、気がかりだったので」と言って、こういうことだとも言わずに、几帳をかけ渡して、隅々まで塵を払うので、「蓬生の草の露をかきわけるような人もいないのに、そんなことをしなくてもよいでしょう」と娘がおっしゃると、侍女は、「蓬の露は払わなくても、あなたの胸の露は今夜きっと晴れるでしょうに」と笑うので、娘はとても恥ずかしくお思いになる。 (訳 花波光) 現代語訳PDFダウンロード 大学入試センター試験平成25年度国語第三問古文現代語訳.pdf
数学1Aは図が与えられておらず自分で作図してから解くような設定になっている。 全国平均点は50点もいかないかも。 いくつか図形的にやっかいな問題があった。 数学については、別のブログにて書く予定。 別のブログ http://selflearning.blog.so-net.ne.jp/