オー、
オー、ユー、アー、タケオ!
は、びっくりしたときにヴォクらが使わなければならない慣用句だった。
なぜなら、中1の英語教科書の本文だったから。
ハロー、ナンスィー。
アイム、ランシー。
ハロー、ナンスィー。
アイム、キンシー。
それがヴォクたちの自己紹介の仕方だった。
その学校で流行っていたのは言うまでもなくカルビーポテトチップスについてくる野球カードでするサイコロをも必要とした野球ゲームだった。
ヴォクの休み時間の大部分がそれに使われどういうわけかはわからないがそのゲームでは高木豊選手のカードは手放せない存在だったのだ。ちょうど8chのプロ野球ニュースの解説に高木豊さんが不可欠であるのと同じように。
話を少し英語に戻そう。
ヴォクの行ってた中学校、そこには甥っ子の唯祈もこの2学期から行っていてとどのつまりは唯祈とヴォクとは同じ靴箱(シューズを入れる棚)と同じトロフィー棚(部活動の表彰状などを飾る棚)を使い、同じ校庭(火山灰がつもるグラウンド)を走っているわけであり、そこでは英語の教科書がサンシャインだった。
鹿児島でとても力のある先生に教わっていたことが幸運だった。
力と言ってもいろいろな力があるのだけれど。
そんなことを思い出しながらさっき明るい月を見た。
こんな月に出会うと、乱視と近視であることを思い出す。
でも目を細めたら月が見えるし暗いところにいけば月がもっと見えるんだ。
オー、ユー、アー、タケオ!
それで今度唯祈くんにあったらあの諺を伝えよう。
Rolling star is a Yui's song and a rolling stone gathers no moss.
花波:お土産はなにがいい?
唯祈:たまでいいよ。
花波:むりぃーーー〜〜〜(まあみの真似で長々と声を長引かせながら了)