野球にも自主トレがある。王さんも落合さんも(人に)見えないところでバットを振ったことだろう。天才だから野球がうまいのだとはぼくは思わない。練習してるからうまいのだと思う。イチローは練習なしに同じ結果を出せないだろう。小さいときから誰よりもバットを振ったからバッティングがうまいのだろう。
コーチえのもとは、朝や夜の自主練(壁打ち)を多くした子をレギュラーにして県大会毎回優勝を僕たちに与えた。みんな(上達して驚かせたくて)えのもとコーチに見つからない穴場を探して練習したが、彼のローレルはぼくらをすぐにつかまえた(なんとなく擬人法で)。僕たちは彼はローレルの中で暮らして寝ているのだと話していた。
やらせる塾という言葉がある。塾の中でやろうと、家でやろうと、やらせる塾というチームに入れば一定の結果が短期で出るだろう。映画コーチ・カーターみたいな塾。
ぼくはそういう一緒にやる塾もメッサ好きだが、勝手に勉強する独学アシスト塾をやっている。中学に合格しさえすればいいとか高校に合格しさえすればいいとか難関大学に通ればいいとかいささかも思っていないから強制はしない。管理もしない。管理されたい子はうちには来ない。一人で勉強するようになりたい子が来る。
独学の仕方を伝える。どうしたら数学がとれるようになるのか、どうしたら英単語が読めるようになるのか、どうしたら国語の読解力がつくのか、どうしたら地理ができるようになるのか、どうしたら歴史の流れがわかるのか、そしてどうしたら頭がよくなるのか、そういうところを伝える。
たとえば授業中には子別に英単語を読んでゆく。発音記号を読む。100語読むのには時間がかかる。巻き舌のアーと、きれいなアーの違いとか、第一音節にアクセントをおいてオ・モロ~と発音したりとかそういう地味な基礎をやる(第一音節にアクセントを置くのが苦手な子は多い)。基礎のキソを授業でアシストしたらあとは独学がしやすくなる。
数学なら、教科書にあるようなド定番の例題から授業を始め…、ない。もっと前の考え方から独学してきた上で授業で確認してゆく。
素振りはスポーツでたいせつなものだが、その素振りを子供の代わりにやることは誰にもできない。身体が疲れるまでの素振りならだれもがやるだろう。
うまくなりたい子は人に見えないところで隠れて素振りをするものだ。