ヒカリ

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花波にぃのオキニ図書(2) チョイス新標準問題集 数学3C

傍用問題集や「黄茶」、「青茶」など、問題の解法・考え方に一通り触れていくためのいわゆる網羅系と呼ばれる類の本で解法習得と計算トレーニングを終えたら、次の練習段階は自分で考えることだろうか。

この思考訓練期用途では、ただ難問ばかりを扱う問題集は多いが教科書plusαの入試問題レベルから入試標準レベルにまで到達するところを厚く扱う問題集はそう多くない。

本書はまず標準問題を言葉の真の意味において「チョイス」してある。高校数学の問題集は2、3百くらいもっているがこの問題集は「数学プラチカ」同様に良質の入試標準レベル問題が選びに選び抜かれていると感じる。ただし、たとえば「分野別受験数学の理論」や「黒大数」のように真に本質的で証明に詳しい教科書系図書とは異なり、本書「チョイス」には公式の証明の類はいささかもない。あくまで教科書レベルを終えてからの一冊として編成されている点に注意されたい。

演習量として決して少なくない241問は問題レベルA(入試標準よりやや易の全87問)と問題レベルB(標準よりやや難の154問)に分かれており、A、B内でもそれぞれ易からやや難の順に配列されている。選問が河合の記述模試のように優れている。そして河合出版の問題集らしく解説は非常に丁寧で答案として減点されないフル解答を掲載。

学習者は問題を解く。

手がとまって20分経過(個人差、時期差あり)したなら、まず「ヒント」を見る。この問題集には別冊の詳しい解説冊子以外にも「答えとヒント」集が独立してついている!

ヒントを見て解法上の発見があるだろう。そして再度自力で解き進められる。

自分の解答作業完了。「答えとヒント」の答えを見る。ここで違っていたら解きなおしてもいい。

今度は「解答解説編」を読む。

解答解説編にもヒント「考え方」がついている。

要するにこの書物にはヒントが、解答や解説とは別に2種類も付されているわけである。

この仕様は学習者の立場に立ったものだ。恐れ入る。

考え方の次にある「解答」は自然で技巧的すぎずわかりやすい。

解答編には「別解」や「注」までついている。

まさに思考問題集のデラックス版。

なぜその解法かをうたう本は多いが、探せども探せども真にそういう書物は見つかりにくい。まぁ思考過程を詳細にうだうだ書いたような本は滅多にない。

また、どんなに問題集や参考書でそういうことを学ぼうとしても「発想力」はなかなか身につくものではない。なぜなら、解法の理由、なぜその解法を使うのかは自分で考えぬいてはじめて身につく力だからだ。数学の学力は考えた時間量に比例するところが大きい。

なにかいい本ないかなぁと解法の背景をいつまでもいつまでもどこかの書物に探すよりもむしろ1冊の問題集の「問題と解答を暗記してしまうくらいまでに繰り返し自分で考える演習」をした方がよほど数学の力になる。

本書もまたそういう1冊たりえる問題集である。

もう、問題数をこなさないとという訳のわからぬ強迫観念なんて捨て去ってしまい、いっそのこと考えたいだけ考えてみたらどうだろう。

そのためにヒントが2回も付いているのだから。

次、Z会の「古文上達基礎編」へ、バトンタッチ。