開幕戦ホームランみたいには目立たないが、小さなしかし確かな変化があった。
入学式の準備もあり、春休みとは言え朝早くから部活があり暇ではないだろう中、多めおおめに予習してきていた子があった。
感動した。この子は自分でできることを増やそうと必死にやってみた。
どの科目もページが課題より少しずつ先の方にまで進んでいた。自分で決めて思い切ってやってみたに違いない。
なんとすてきなことだろう。
それはとてもとても小さくて、ほんの数ページの、本の数ページの変化かもしれない。
でもこの子は自学できた。もう心配いらない。どこに行っても大丈夫。
テストでよい点をとってくる。通知票でよい結果を獲得してくる。そういうことはもちろんめっさうれしいが、この仕事をしていて一番うれしいのは今日みたいに、自学の芽を見つけたときである。
入会から1年、この子の中に見つけた自学の小さな芽をヴォクはうれしく思う。
「ここはひとりでもできたのでやってみました。」
この子は一歩前に踏み出している。