「お願いします。」
「精悍な顔つきをしている。キャプテン、かしこまらないでいいよ。」
進路指導室でそう来たか。フェイントだった。
高三の夏前だったろうか、赤本で埋め尽くされた高校の進路室で進路主任による面談があった。
「君は挑戦するといい。実力テストでよくとれている。」
ヴォクは中1の頃から大学までの進路計画(もっといえば仕事まで)を決めていたのでとくに何を言われても受験するつもりでいたが、賛成してくれた。
進路指導については追い風が吹くと、子供ながらに飛びやすいと感じたものだった。
ポンと肩を押されたような気がした。