これは(ぶっちゃけ)開塾以来初の出来事だった。英語は放っておいても伸びるという根拠のない自信を胸に、ヒカリ数学でヒカリ英語を倒すことをずっと見てやってきたが、いざ本当に抜かれると調子が狂うというわけのわからない体験をすることになった。
今年に入り理科が英語に並んだあのときになにかやばい予感はしていたのだが。
熱は伝播するとはこのことかもしれない。
週1回の授業でもはじめに数学をやるか、英語からやるか、大体そこに熱が現われる。当然、一番力を入れていきたい科目を最初に扱うことになる。
子供たちは(書くのははじめてだが)社会・理科に力を入れたら社会・理科だけが伸びるし、数学に熱を入れたら数学がニョキっと出てくる。
国語に気合いを入れたら国語もよくなるだろうし、英語をもう一度重視したらまた英語が強い科目になるのかもしれない。鉄は熱いうちに打てとはよく言ったもので、若い彼らを指導中に、力を入れた教科の成績だけが見事に上がるといったような不思議経験は今までに何回もしている。
そういうことがあるので、ヴォクは塾内平均点の科目別数値を最重要資料と位置付けてきた。模試の結果は子供たち一人ひとりの成績資料であると同時に、塾の指導効果について示された通知票にほかならない。
ヴォクはヴォクの通知票を気にしすぎたのだろうか、たしかに指導バランスはよくなったかもしれない。でも牙を失った肉食動物になっているのかもしれない。もうここにあったかつての鋭い牙は生えてこないのかな。
新境地といえば大袈裟だが今日からひとつ新しい試みをはじめた。なにを伸ばしたいかも子供が決める、というやり方である。今さら?って感じだが、そこに回帰した。
ウチは子供に何でも自分で決めてもらうチャンスをなるべく多くしている。自分でなにかを決めることはそのままセルフラーニング力を高めることにつながるから。まわりが決めてもいけない。親が決めてもいけない。塾が決めてもいけない。
ならば、強くしたい科目も自分で決めてみよう。なにかの弱点を補強してバランスをつけるもよし、なにかの強みを伸ばして尖るもよし。いや、今までずっとヴォクはひょっとしたら無意識に弱みをなくすことの方にばかり目がいっていたのかもしれない。それでイチローや野茂になれるか。
強みに着目し、強みをトコトン伸ばす、そういう線も含めて、聞きながらすすめてゆきたい。目標は誰のものだったの?
子供の目標は間違ってもヴォクの目標じゃない。ヴォクの目標はそれをアシストすることではなかったか。
平均偏差値なんて野球チームの防御率みたいなもんか。それがよければ必ず勝てるというわけでもないだろう。そもそも他と戦ってるわけでもない。改めて言うのも恥ずかしいが子供の目標と対峙したい。
子供の作成した計画票とにらめっこしながらアップップ。そんな感じの夏が来る。